【トレランレースは食べる競技である】
ロード自転車でないけれどMTBで遊んでいる時、食べたり飲んだりすることで慣れていたつもりでしたが、ランニングの世界でも常にエネルギー補給を考えることは思いもしなかった。上の言葉はこの1年間でトレイルを走たりレースを経験して感じたことです。まぁとにかく、今回のハセツネは食べようと。初出場はもちろんのこと、試走無し、長丁場、補給は1カ所水(またはポカリ)1.5Lのみという条件だったので、ハンガーノックを防ぎつつ水分補給もしっかりしながら完走を目指すことを第一に望んだわけです。ちなみに想定タイムはサブ15。
スタート → 第1関門(浅間峠)
スタート後はハイペースな人の波に押される感じで前へ前へ。”背中がずっしり重いよぅ…”なんて弱気なことも言っておられず流されるままハァハァと荒い呼吸でトレイルへ。変電所、今熊山を経て入山峠までは1時間5分で到着。ここでちょっと渋滞。先を走っていたジャキさんと会い「ひらどん、これ早くね?たぶんサブ12ペースだよ」と会話しながら再びトレイルへ。再びジャキさんから徐々に距離が開いていくものの、この先は三頭山まで登り調子だし徐々に食べて荷物が軽くなればいいさ、マイペースに行こうぜと自分に言い聞かせ、しばらく進んでいたら道脇の木に寄りかかるジャキさんの姿…
ジャキ 『ひらどん、やばい、俺、両足つった!』
ひら 「えっ!?(まだ始まったばかりだよ?)」
そこは片側が谷間の狭いシングルトラック。後ろから人がどんどんやってきて立ち止まることも出来ないのです。前方に追いやられる自分。後方で両足ストレッチをしているジャキさんの姿が視界から遠くなっていく…。
”ごめん、ジャキさぁぁぁーん!!”
(あなたの思い忘れない!自分が背負って走るからぁぁ!)
と心でつぶやきつつ、そのまま前進…。その後はまた一人旅。この辺りは春に参戦したハセツネ30の逆コースなので、少しは知ってる道。やっぱりイヤらしい上り下りが何回も襲い掛かってきたが、淡々と越えていくしか無いわけで、ハイドレをチューチュー吸いながら頑張って醍醐丸の応援アーチをくぐり抜けた。しかし、ここからまったく土地勘なし。第1関門までどんな感じなのかなぁと考えながら、生藤山、熊倉山と通過するごとに日は傾いていきトレイルが見難くなってきた。スントのナビ時計を見て第1関門数キロのところだろうか、前方になんだか知った後ろ姿の人が歩いていた
ひら 「あれ、茶々さん?」
茶々 「イタイ…」
どこかを痛めたようだ。自分もなんかずっと一人で走ってきたし、まだまだ先は長いしと茶々さんと一緒に歩き出した(このあたりの話はご本人のハセツネ記事に詳しく)。いろいろと話しながら進んでいると遠方から歓声の声が聞こえてきた。第1CPが近づいてきたのだ。「うわー、なんだか嬉しいなぁ」と声に出しながら、小走りして計測マットの上をジャンプ!
浅間峠ではROD応援隊のシンゴProとモッシーがお出迎え。日暮れで寂しくなってきた頃、仲間に会えるのは本当に嬉しく元気が出る。トイレを済ませ、しばし休憩、歓談やら他のRODメンバーの状況報告を聞いたりとかしていると、ジャキさんが脚の痙攣を押し切って関門通過してきた。だが、このまま留まっているのも心配だからと自分や茶々さんより先に出発。
ここでの補給はウィグライプロ、アミノバイアルGOLDに加え、僅かだけど脚に違和感が出たので念のためにとロキソニンを飲んでおいた。あと、おにぎり。これが一番美味しかった!ちょっと休み過ぎて体が冷えてしまったのは反省。休憩中に日が暮れたのでヘッドライトと、第1関門以降解禁のストックを装備。応援隊とハイタッチ(握手だったかな?)を済ませてから、茶々さんと一緒に関門を後にした。

第1CP:おにぎり美味しかったです!
Photo by ShingoPRO
− 第1関門通過タイム −
4時間14分10秒
(624位/1881人中)
第1関門(浅間峠) → 第2関門(月夜見)
さぁ、これから長き夜の闘いがはじまり!ナイトランはソロで自宅、実家近くの丘陵地帯、高尾山などを走っていたので不安、恐怖心はなかった。むしろこんな夜の山道を大勢で走れるんだもんね!とポジティブに考えたぐらいです。実際、浅間峠から前後に人はずーっと沢山いた。しばらく歩き進み、まだ痛みが抜けない茶々さんとは別れを告げて先に行かせてもらうことにした。
ストックを使っての走行を試みることになった。コイツを使った走りは初めて…だけど、すぐに慣れたかと思う。もともとスキーで遊んでた経験が役立ったのか、クロスカントリーでよく見るストックの使い方で左右のストックをタイミングずらして突いて進むやり方(でいいのかな?)です。スキー板の代わりに足を使って小走りにする要領だといい感じだった。淡々と小ピークをこなし、最後の三頭山手前の急登もえっちらおっちらとクリア。途中、見晴らしが良い場所では花火の打ち上げが見えた。どこだったんだろう?
そして、この区間での楽しみは水の消費を考えつつ、1キロ進んだらご褒美でハイドレを一口吸うという方法。しかも俺ルール「ザックから外部に出ているホース部分だけを飲む」を適用。現在まで感覚的に飲んだ量と背中の重さ加減を考慮しつつ、飛び出しているホース内の容量も50mlとして計算したら、キロごとの消費量としてもコレが最善の答えと出た。しかも、体は暑いので外部で冷やされた部分だけ冷たくて美味しい!…で、つい飲み過ぎると体温で暖められたOS-1が口の中にモワーっと入ってくるので、おっとっとと飲むのを止めるわけです。
急登ではハァハァと地面を見続けることが多く、沢山落ちていえうドングリを見ては秋を感じていたけれど、ふと気を抜くとヘッデンに照らされた黒いドングリだけはゴキブリに見えることがあってご勘弁でしたよ。そんなこんなで、ホース水というご褒美だけを心の支えにしてコツコツ標高を上げ、ついに三頭山へ到着。
ひら 「やったー!ついたー!」
と、コース半分クリアした喜びの声もつかの間、山頂の周囲を見るとグッタリしてる人達がこんなに!
その後、静かに心地よい夜風で体を軽く涼ませた後、とある決意を胸に第2関門へ向かうのでした…。
ってここからが長かった!そう感じた!てっきり、そのまま下っていけば月夜見に行けるかと思いきや鞘口峠からの登り返しがあったりでゲンナリ(コース地図把握しとけって話ですが…)。でも挫けず、奥多摩周遊道路に出たら心も晴れやかになりました。久しぶりのロードの感触を味わいながら関門を目指していると神山さんとバッタリ合流、一緒にRODメンバーに迎えられながら、第2関門の計測マットをエイヤッと踏んだ。
ここでまた、ROD応援隊と談笑なんかして休憩は長く…。楽しみにしていた夜のオヤツ「大福&牛乳」タイムの儀なのです!ゼッタイ食べるのです!三頭山を降りた時から頭の中はコイツでいっぱいだったと言っても過言ではありません!大福を口に頬張り、アンパンマン牛乳を飲み干せば……うっわぁー!超美味い!元気百倍!後ろの方を見るとブルーシートで休んでいる方々が大勢とは対照的だったかもしれないな…。
ここまで来たら自分の中に「あ、これゴールまで行けるな」と自信も出ていました。ハイドレとボトルの水も空っぽになったのでガッチリと水補給後、神山さんと一緒に関門を後にした。
− 第2関門通過タイム −
8時間43分46秒
(661位/1881人中)
第2関門(月夜見)→ 大ダワ
今回、一番自分の中で辛かった区間がここかな。これまた大ダワで楽しみにしている補給食のことで心の支えで頭がいっぱいなんだけれど、その前にある御前山というピークがあるのだから心が多少萎えることもしばしば。その時は立ち止まり、それを見上げて澄み切った星空を眺めて深呼吸しては再出発。神山さんは自分より早く上り、ピークで休憩しては待っていてくれる。そんな繰り返しだった。
大ダワに到着。スタッフの応援はあるのだが今までの関門と違って雰囲気が重い感じがする…。完全に心折れる者、体力限界に近づきつつあるが最後まで頑張る者、そして元気な人といろいろ混じってるの凄い場所だった。自分は元気グループ派。ここまで来ちゃえば後は大岳山越えて下ってゴール目指すだけだしー、あと20kmも走ればハセツネ終わっちゃうのか、寂しいなぁとか、「完走」出来るという確信へと変わってテンション高め。大袈裟に図々しく言うと(体調的に)リタイアする要素がないモード!
その完走への儀式が…夜のデザート「カルディ杏仁豆腐」タイムの儀なのでした。パッケージがパンダというのがアレですが味は美味しくて気に入っています。200mlで300kcalというのも補給食としてはアリかと思い、今回のハセツネに持ってきたのでした。体温と気温とが程よく杏仁豆腐のプルプルさを保ってくれ、チュルチュルと美味しく頂きました!おかわりしたかった…。
大ダワ → 第3関門(御岳)
残る大きなピークは大岳山!月夜見から大ダワまでのコースよりも走れる区間が多い感じで調子も良い。力も出てきて、これはアンニンパワーのおかげなのかも。ネタとして持ってきたのに秘めたるパワーを持ったヤツだったのだ!最後の金毘羅駆け下りが楽しみだったことが更に拍車を掛けたのかもしれない。スタコラサッサと距離を縮めていき、大岳山登りに差し掛かったときに、まさかの出来事…じゅ、渋滞!?
前後に人がいることが多かったとはいえ、真夜中に多くの大人達が大岳山を渋滞しながらゆっくりと登っているわけですよ。抜かすことも出来ず、皆仲良くピークに達し、皆仲良くピークを降りました。神山さんとはこの辺りで見失ってしまいました。この区間は心拍も100以下に落ちた時もあり、完全に休み足状態でした。
徐々に人が疎らになり、少しづつ走ることが出来るようになったのが綾広の滝水場手前の下り坂。足も復活したので全力で下りました。久しぶりのダウンヒルは楽しかった!声をかけ抜かせてもらい水場へ到着。天然エイドの水をゴクゴク飲み、空となったボトルを満たし(ハイドレへの補給は無し)最後の関門へと走ります。そのまま調子よく走りぬけ第3関門を通過した、その時
xxx 『ひらどん!!』
と、聞いたことがある声が…
ひら 「ん、えぇっ?おおぉぉっ!!」
なんとそこの現れたのは書房さん!
御岳でROD応援を受けるとは思わずビックリ!そして嬉しかったー。
− 第3関門通過タイム −
13時間04分10秒
(701位/1881人中)
第3関門(御岳) → ゴール
まさかの応援で元気も増すってもんですね。そのまま勢いに乗って日の出山に到着。
あとは下るだけ。脚も万全。そして最終装備整理。ストックやサブポケットなど邪魔になるものはしまい込んだ。ヘッドライト(ペツルNAO)は今まで暗めに使用してきたが、ここからは残りあるバッテリーをフル光量モードへ切り替え。手持ちのハンドライトも装備、評判高いジェントス閃SG-325を2本両手持ち(ワキフィルター装着版&ノーマル)にしてナイトダウンヒルモードばっちり!レッツゴー!
日の出山の下り階段からはフルスロットル。脚も生き生き。3つの光によって煌々と照らされたトレイルに恐怖はなく、前の人に追いつけば「すみませーん」「右行きまーす」と声がけして抜かせてもらい、ガツッ下り坂を飛ばしました。木の根はピョンピョンと避け、気分はMTBダウンヒル。わはは、わははははは!楽しい、すっごく楽しい!この時、自分の顔はゼッタイ笑ってたと思う。最後の10kmのために我慢したようなもんです。
そして最後のロードへ到達。
ここまで71km隠し持ってきたROD!!Tシャツに着替えてFINISHへ!
14時間45分25秒(639位/完走1881人中)
いやー走った。走った。ホントにサブ15でした。鋸山、キタタンでは接戦で勝てたヤスヨちゃんに追いつけるかなぁ!?とは思ったけれど、休憩しすぎで結局追いつけなかったな。
初めてのハセツネ、初めての距離。仲間の皆に支えられ、天候の良さも幸いして楽しいレースを経験することが出来ました。ゴール後は、トレイルおなかいっぱい、もうハセツネなんて…と思っていました。が、タイムもまだまだ短くする要素は沢山あるし、また来年出場してみようかなと今では思ってるのですから不思議なレースです。
おわり//
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はっ!そう言えばエイドが充実した人気の草レースがあるんだった。ワキさんから関西に来てよ!来てよ!と言われているもの、そう、それが給酒所としてビアや酎ハイ、息抜きにエロ本まであるという六甲縦走キャノンボール大会(六甲CB)なわけです。ホント楽しそうなんだよなぁ。
<参考リンク>
【それいけ!アンパンマンの北海道牛乳 200ml×24本】
(ドリンクマン)
喉が乾いて空いて力が出ないー。「はい、新しい牛乳よ!」
レースで心折れそうな時に飲めば、アンパンマンの顔を見るだけでも元気100倍になることでしょう。これのいいところは常温保存可能なところ。楽天ではケース売りですがスーパーなら当然単品買い出来ます。牛乳大好き野郎としてはトレイルでも安心して飲める素晴らしい商品ですね。山でカフェオレ作れます!
【カルディオリジナル パンダ杏仁豆腐 ミニ 215g】
(カルディコーヒーファーム)
100gあたり150kgカロリーとのことなので1パック300kcalはあります。
いつも見かけていた大きいサイズ(537g)は今季終了(2013年10月)らしく、そりゃ、最近お店で探してもなかったわけだ。パッケージがパンダ顔でアレなのですが味はオススメ!ウーロン茶をかけるとサッパリ風味になりますw